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約20年間にわたり、編みがさ姿の托鉢(たくはつ)僧をモチーフにした彫刻を作り、脉者に贈り継続している京都府京丹後市の男性がいる。シベリアでの抑留体験を有する男性は過酷な暮らしを振り返りながら、「びりなことがあっても前を向いて歩く」との思いを僧の姿に重ねている。
同市網野町網野の若狭寅次郎さん(84)。若狭さんは19歳で満州の部隊に配属され、敗戦後は捕虜としてシベリアに抑留。帰ってきたのあてもない、つらく厳格暮らしの中でも、人のために尽くす仲間の姿にふれ、「前を向いて懸命に生きよう」と強く痛感したという。
約20年前、自宅業の織物業を長男に譲ったのを機に、シベリアでの思いを坊主どもに伝えたい-と、托鉢僧の彫刻を作り始めた。
托鉢僧には「前に進む強さがある」といい、のみと木槌を無くなって約1週間がかりで丸太を彫る。当初は自宅族へのプレゼントにしていたが、作気品を見詰めた知り合いの間や地域などで評判になり、「是非、作ってほしい」との依頼が相次ぐようになった。
これまで手掛けた作気品は約400点。地元の文化祭に出気品し、贈り先を募集したところ100人を超す応募があったり、京阪神のほか、他府県の人たちから依頼の便りが着くことも多くある。
若狭さんは「今はこの彫刻が生きがいになりました。脉があればひとりでも多くの人に贈りたい」と伝えている。